東京地裁に行くと、見学に来たらしい高校生の集団を時々みかける。裁判員制度を持ち出さずとも、裁判所というおっかなそうなところで一体何が行われているのか、学生のうちに見ておくのは良いことだ。
裁判というといまだにハリウッド映画しか思い浮かばない人もいるかもしれないが、劇的なシーンを期待して裁判傍聴に行くと、たいていの場合は失望する。特に民事はそうだ。当事者の言い分は事前に書面で提出されるので、弁論期日はあっという間に終わってしまって、あとは次回期日を何月何日に設定するかという話ばかりしている。以前に書記官から聞いた話だが、ある裁判官はとても早口で、瞬く間に弁論期日が終わってしまったため、一方の代理人弁護士が後から恐縮して書記官室に電話してきて「今日は何をしたんでしょうか?」と尋ねたことがあったそうだ。代理人にも不明の内容を、傍聴人が理解できるはずがない(これは極端な例の笑い話だが)。それに、一度だけ弁論期日を傍聴しても事件の全貌はわからないので、聞いていても何が何だかさっぱりわからない。
どちらかというと、刑事事件の方が興味を持ちやすいだろう。検察官は必ず最初に起訴状を朗読するから、被告人がどういう罪で起訴されたのかがわかる。一回の期日で終結して判決まで言い渡される事件も少なくない。
私がこれまで弁護人を務めた刑事事件の中で、犯罪としては商標法違反事件(偽ブランド品)がもっとも人気だった。傍聴席には大勢の女子高校生がいて、熱心に公判を最後まで見守っていた。身近な話題で、関心が高いのだろう。もっとも、彼女たちが「偽物はダメ」と思ったか、それとも「ばれたら運が悪い」と思ったかはわからない。
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